【う】
014 歌占(うたうら)

(作者) 観世大夫書上には、世阿弥・十郎元雅両人の作となっている。
(曲柄) 
四・五番目
(季節) 
四月
(稽古順) 
一級
(所) 
加賀国石川軍白山麓
(物語・曲趣) 
加賀国白山の麓の里人が、最近こちらに来た男神子の歌占が良く当たるということを聞いたので、里人は父と生き別れた子供を連れて行き、白髪の巫女に占ってもらうことにした。

まず、里人が歌占を引いて親の病気について占ってもらい、次に子供が父の行方を知ろうとして歌占を引く。すると、巫女は「その父にはすでに会っているはずであるが」と不審に思い、子供の素性を尋ねると、すなわち自分がその父であった。

里人は、この親子の再会を祝った後、「地獄の有様を曲舞にして謡われるそうだが、それを聞かして下さい」と、巫女に頼む。巫女は「これを謡うと神気が憑いて狂乱することになるが、帰国の名残に謡いましょう」と言ってその一曲を奏する。

巫女は果たして狂乱の体となったが、やがて醒めたのちに、親子は打ち連れて帰国して行った。

この曲の主眼とするところは、親子の再会のことよりも、主人公の狂乱、地獄めぐりの曲舞を舞うというところにある。

歌占
=多くの歌の中からその一つを引かせて、その歌の意味によって占う占法。

(役別) 
シテ 渡会何某、 ツレ 男、 子方 幸菊丸
(所要時間) 
四十五分