【よ】
125 養老(よおろお)

(作者) 世阿弥元清
(曲柄) 初能 一番目 神祇物
(季節) 四月
(稽古順) 一級
(所) 美濃国養老郡養老瀧
(物語・曲趣) 雄略天王の御代に、美濃国本巣郡に霊泉が湧き出るという奏聞があったので、勅使が下向して養老の瀧に着くと、老若ふたりの樵夫がやって来た。

勅使は、このふたりが「話に聞いた養老の親子であろう」と思ったので、樵夫にそのことを尋ねる。

すると果たしてふたりはその親子たちであったので、今度は「養老の瀧といわれるいわれ」を問う。これに対して、老人は畏まってそれに答えて、薬水の湧き出るところを教える。

そこで、勅使はこのことを奏聞しようとして帰りかけると、にわかに天から光がさし、花降り音楽が聞こえるうちに、親子は立ち去ってしまった。

すると、今度は養老の山神が姿を現わし、嵐や水の音を音楽にして舞を奏し、太平の御代を称えるのである。

親孝行の徳が報いられて、神に甘美な泉の水を授けられた。それも聖代の奇瑞である。そのようなことが主題となっている。

本巣郡=養老瀧は養老郡にあるので、本巣の郡というのは誤伝である。
養老の瀧=養老郡養老村白石の山中にある。元正天皇の御代から有名。

(役別) 前シテ 樵翁(父)、 後シテ 山神、 ツレ(前) 樵夫(子)、 ワキ 勅使、 ワキツレ 従者(二人)
(所要時間) 三十五分