たんと菜園の
野菜の花・葉・実
食卓を飾る野菜たち


27サトイモ(里芋)
サトイモ科

親芋から子芋、孫芋…と"繁盛する"ので、子孫繁栄の象徴として縁起物扱いされている。

原産地は熱帯アジアで、世界の温帯、熱帯で広く栽培される。わが国にも古く渡来した。芋は塊茎、葉柄とともに食用とし品種が多い。


特徴のある大きな葉っぱで、如何にも南洋的ある。表面は滑らかで水をはじき、玉になって転がる。朝露が葉の上で水玉となって固まったり、夕立が止んだ後にコロコロする光景を眺めるのも楽しいもの。

親芋のまわりにコブのようにくっついて成る子芋の収穫。秋が深まるにつれて、実成りも大きくしっかりしてくる。

時として、薄いクリーム色の花を咲かせることがあるらしいが、残念ながらお目にかかったことはない。



サトイモが持つ独特のヌルヌルとした"ぬめり"成分は、ムチンやガラクタンといわれるものを含んでいるため。

ムチンは体内でグルクロン酸を生じさせ肝臓や腎臓を丈夫にし、ガラクタンは脳細胞を活性化して老化やボケを防ぐ効果があるほか、免疫力を高めてガンを予防するというスグレモノだそうな。
"普通の"サトイモ "赤芋茎の"ヤツガシラ



◆芋茎(ずいき)
芋茎の皮を剥いて日干しさせたのが”芋がら”。水で戻して、アク抜きをして、煮物や吸い物に入れていただく。
食べる芋茎には、海老芋や八頭の芋茎である赤芋茎(画像右)の他に青芋茎、白芋茎があるが、青・白の栽培は経験したことがない。

青芋茎…茎の切り口はスポンジのように穴がたくさん開いている。芋茎を食べる専用品種で肥後芋茎はこの青芋茎を干したもの。

白芋茎…茎を食べるために日光に当てずに柔らかく栽培したもの。
青芋茎でない普通の芋茎 赤芋茎
ヤツガシラ(八頭)
親芋はあまり成長せず、親芋のまわりに出来た子芋が早く成長するので、親芋と子芋が合体した独特な形になる。

末広がりの八、人の頭(カシラ)になる」縁起物ということで、お正月のおせち料理に欠かせない。ヌメリが少なくホクホクした歯ごたえ感があり、アッサリ味。煮崩れしないので、煮物向き。


キヌカズキ(衣被)
衣被とは、『平安時代ごろ、身分ある女性が外出時に顔を隠すために衣をかぶったこと。また、その衣』のこと(広辞苑)。

転じて、「里芋の子を皮のまま茹でたもの」の意。茹で上がった子芋を指先でニョロリとつまみ(押し)出して、塩をつけて食べる。シンプルな味で、美味しいこと限りなし!

そういえば、「女性の頭の布がスルッと取れて白い肌が現れる」様子に似ていると言えなくもない…。


乾燥は生育に悪影響を与える。また寒さにはめっぽう弱く、霜が降りると葉は茶色っぽく変色してくる。 寒さが更に進むと、ご覧のとおり、茎もろ共にゲンナリと萎れ溶けたような状態になる。早く掘り上げてやらなくっちゃ…。 冬越しさせるには穴蔵での貯蔵が一番。1mぐらいの穴を掘って積み重ね、土をかけ藁で覆う。来年のタネイモ用にもなる。

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