平成16年(2004年)下期・7月〜12月





平成16年(2004年)12月25日
第238回定例会(謡納め会)

○ 本年最後の謡納め会。S氏が突然の病に倒られての欠席で、ややさびしい謡会となった。
出し物は「朝長」「鉢木」「當麻」「菊慈童」「猩々」の5曲。出番は、「鉢木」のツレ役(常世の妻)、「當麻」のツレ役(化女)、他の地謡。

○ 終って、例年の如くの会席料理で賑わう。これまた良ろし。

鉢木
(上歌)『げにこれも旅の宿。げにこれも旅の宿。仮初ながら値遇の縁。一樹の蔭の宿りもこの世ならぬ契りなり。それは雨の木蔭これは雪の軒古りて。憂き寝ながらの草枕夢より霜や。結ぶらん夢より霜や結ぶらん』

菊慈童
(上歌)『夢もなし。いつ楽しみを松が根の。いつ楽しみを松が寝の。嵐の床に仮寝して。枕の夢ハ夜もすがら身を知る袖ハ乾されず。頼みにし。かひこそなけれ独寝の枕詞ぞ。怨みなる枕詞ぞ怨みなる』

猩々
『老いせぬや。老いせぬや。薬の名をも菊の水。盃も浮かみ出でて友に逢ふぞ嬉しきこの友に逢ふぞ嬉しき』
『よも尽きじ。萬代までの竹の葉の酒。酌めども尽きず。飲めども変わらぬ秋の夜の盃。影も傾く入江に枯れ立つ。足もとはよろよろと。酔ひに臥したる枕の夢の。覚むると思へば泉ハそのまま。尽きせぬ宿こそ。めでたけれ』


平成16年(2004年)12月13日
相謡会・12月研修会兼忘年会

○ 朝9時半から夕方4時まで熱演7番の研修会。昼食は差し入れ弁当で楽しむ。
出し物は「」「雨月」「鉢木」「船弁慶」「芭蕉」「三井寺」「葵上」の7曲。出番は「葵上」のワキ役(横川小聖)、他の地謡。

○ 終演後、4時半から「勝○」にて忘年会。盛り上がる。



平成16年(2004年)11月27日
第237回定例会

○ 10月例会を欠席したため、2か月ぶりの出席となった。出し物は「実盛」「葛城」「」「籠太鼓」「紅葉狩」の5曲。

○ 出番の割り当て曲は重習の大曲である「砧」のシテ役と「紅葉狩」の地頭役。
妻の主人に対する恋慕の執心を扱った名曲「砧」。紅葉の「物凄い美しさ」がこの曲の象徴ともなっている「紅葉狩」。謡い終わって、いずれも充足感を感じさせるものであった。


(下歌)『夏衣薄き契りハ忌まはしや。君が命ハ長き夜の。月にハとても寝られぬにいざいざ。衣擣たうよ。かの七夕の契りにハ。一夜ばかりの狩衣。天の川波立ち隔て。逢瀬かひなき浮舟の。梶の葉もろき露涙。二つの袖や萎るらん。水陰草ならば。波うち寄せよ泡沫』

紅葉狩

(上歌)『下紅葉。夜の間の露や染めつらん。夜の間の露や染めつらん。朝の原ハ昨日より。色深き紅を分け行く方の山深み。げにや谷川に。風の懸けたる柵ハ。流れもやらぬもみじばを。渡らば錦中絶えんと。先ず木の下に立ち寄りて。四方の梢を眺めて暫く休み給へや』


平成16年(2004年)11月14日
相謡会・11月例会

○ かねてから懸案となっていた相謡会・素謡月例会への初参加が実現した。朝10時から夕方4時まで、お昼休み40分だけ。参加者25名の熱演には感動した。素晴らしい同好の志たちとの巡り合せになりそうで、うれしい。

○ 演目は「和布刈」、「朝長」、「野宮」、「千手」、「天鼓」、「藤戸」、「猩々」の7曲。
出番はいずれも地謡役であった。



平成16年(2004年)11月13日
第95回METI謡曲連盟秋季大会

○ 事前に予定された次のプログラム演目を順次披露していく従来方式。演終了後は恒例の麦酒&米酒付きの食事会。
(素謡)
 観世流…「富士太鼓」「紅葉狩」「定家」の3曲
 喜多流…「経正」
 宝生流…「土蜘蛛」
(仕舞)
 喜多流…「六浦」「放下僧」

○ 出番は、「富士太鼓」のワキ(臣下)役と「紅葉狩」「定家」の地謡。




平成16年(2004年)9月25日
第235回定例会

○ 重習い曲である「恋重荷」のツレ(女御)、梅枝のワキツレ(従僧)、小袖曾我の地頭のお勤め。その他の曲への地謡参加。謡後の感触、極めて良好。充足感あり。

○ 演目は「井筒」「阿漕」「梅枝」「恋重荷」「小袖曾我」の5曲。予定していた「鍾馗」は省略された。

井筒
(上歌)『名ばかりハ。在原寺の跡古りて。在原寺の跡古りて。松も老いたる塚の草。これこそそれよ亡き跡の。一叢ずゝきの穂に出づるハいつの名残なるらん。草茫々として露深々と古塚の。まことなるかないにしへの。跡なつかしき気色かな跡なつかしき気色かな』

梅枝

(上歌)『西北に雲起こりて。西北に雲起こりて東南に来る雨の脚。早くも吹き晴れて月にならん嬉しや。所は住吉の。松吹く風も心して旅人の夢を。覚ますなよ旅人の夢を覚ますなよ』

恋重荷

(地)『由なき恋を菅筵。臥して見れども寝らればこそ。苦しや独寝の。我が手枕の肩替へて。持てども持たれぬそも恋ハ何の重荷ぞ』



平成16年(2004年)8月28日
第234回定例会

○ 他の例会と重複して欠席者が続出したため、参加者は過去最小の5人となった。したがって、代役でのお勤めが多くなったため、予定していた演目「橋弁慶」は省略することとした。

○ 演目は「松風」「雨月」「女郎花」「花月」「安達原」の5曲。このうち、「松風」のシテ(松風)役と「女郎花」のシテ(尉、小野頼風)役および「雨月」の地頭役を勤めることと相成った。いずれも重い曲で、充実したお稽古となった。

松風
(上歌)『影恥ずかしき我が姿。影恥ずかしき我が姿。忍び車を引く汐の跡に残れる。溜り水いつまで住みハ果つべき。野中の草の露ならば。日影に消えも失すべきにこれハ磯辺に寄藻掻く。海士の捨草いたづらに朽ちまさり行く袂かな朽ちまさり行く袂かな』

雨月

(上歌)『折りしも秋なかば。折りしも秋なかば。三五夜中の新月の。二千里の外までも。心知らるる秋の空。雨は又瀟湘の。夜のあはれぞ思はるゝ』

女郎花
(上歌)『艶めきたてる女郎花。艶めきたてる女郎花。後ろめたくや思ふらん。女郎と書ける花の名に誰偕老を契りけん。かの邯鄲の仮枕。夢は五十のあはれ世の例も真なるべしや例も真なるべしや』

花月
(小歌)『来し方より。今の世までも絶えせぬものハ。恋と云へる曲者。げに恋は曲者。くせものかな。身ハさらゝさら。さらゝさらに。恋こそ寝られね』



平成16年(2004年)7月24日
第233回定例会

○ 先月の例会は「METI大会」と重なって休会となったために、2か月ぶりの開催となった。演目は「養老」「経正」「三輪」「玉鬘」「正尊」「蝉丸」の6曲。

○ 重習「正尊」のワキ役を欠席のKさんの代役として引き受けるなどしたため、全曲へのフル出場を余儀なくさせられた。おかげで、心地よい疲労感とともに終演後の麦酒の味もすこぶる良かった。