(2003/6/24 : 伊豆修善寺 虹の郷・ゆり苑)


6月24日(火)
伊豆文学散歩・第4回(最終回)

○ 4ヶ月前の2月末、町田市民ホールの一室で開かれた「事前学習会」からスタートした教養講座「伊豆文学散歩」も、今日でいよいよ最終回となった。

○ 自然の移り変わりは速い。初回の現地学習会では春未だ浅く、菜の花が咲き始めた季節であったが、回を重ねるたびに、その都度が新鮮で目新しさを感じさせてくれる伊豆・天城の風景であった。

○ 落葉樹のなかで咲き乱れていた山桜、萌えるような新緑のまばゆさ・・・。梅雨時を迎えたいま、伊豆の山は濃い緑へと変わっていった。

○ 最終回の「文学散歩」は、川端康成「伊豆の踊り子」の舞台のひとつとなった湯ケ野を訪ねること、「伊豆近代文学博物館」で伊豆にゆかりの文芸陳列品を見学すること、そして井上靖旧邸を訪問することなどであった。

○ なお、別掲の伊豆文学散歩・総集編ではこれまでの4回分を一括して再編集した。

  河津川沿いの湯坂遊歩道を歩く。湯ケ野橋を渡ったところに福田屋(現、福田家)がある。「伊豆の踊り子」の主人公(私)が泊まった宿で、玄関には岩に腰掛ける踊り子の像が立っている。下を流れる川のせせらぎの音も心地よい。『・・・川向こうの湯気の中に七八人の裸体がぼんやり浮かんでいた・・・』という共同湯は目と鼻の先にある。すぐ隣りには「伊豆の踊り子文学碑」(右)が立っている。   文学碑を前にして、舞台となった背景などについて説明される梅原先生。碑文には、主人公(私)が踊り子の旅芸人達を追って湯ヶ島から天城を越え湯ケ野へたどりつく部分の文章が刻されている。

『・・・彼に指ざされて、私は川向こうの共同湯の方を見た。湯気の中に七八人の裸体がぼんやり浮かんでいた。ほの暗い湯殿の奥から、突然裸の女が走り出して来たかと思うと、脱衣場の突飛に川岸へ飛び降りそうな恰好で立ち、両手をいっぱいに伸ばして何か叫んでいる。手拭もない真裸だ。それが踊り子だった。・・・』(「福田屋」での状況描写、川端康成「伊豆の踊り子」抜粋)

『湯ケ野までは河津川の渓谷に沿うて三里余りの下里だった。峠を越えてからは、山や空の色までが南国らしく感じられた。私と男とは絶えず話し続けて、すっかり親しくなった。荻乗や梨本なぞの小さい村里を過ぎて、湯ケ野の藁屋根が麓に見えるやうになった頃、私は下田まで一緒に旅をしたいと思い切って言った。彼は大変喜んだ。』「伊豆の踊り子文学碑」碑文、川端康成「伊豆の踊り子」抜粋)

 『 「伊豆の踊り子」は、前に、田中絹代、美空ひばり、鰐淵晴子の踊子、それにこんどの吉永小百合で、四度の映画化である。四人の女優さんはみな、踊子の役をよろこんでくれた。
  この写真は撮影地の伊豆の山で、風の強い日だったが、古風な踊子姿の吉永小百合をみていると、私は懐かしい親しみを感じた。吉永の好ましい人柄にもよる。』(「伊豆近代文学博物館」に陳列されている川端康成直筆の原稿及び映画「伊豆の踊子」撮影現場でのロケ風景写真)

「伊豆近代文学博物館」の入口 天城、伊豆にゆかりの文芸資料の数々 川端康成「伊豆の踊子」の生原稿

井上靖旧邸(左)
  明治23年に建築された湯ヶ島の旧家をそのままの状態でこの地に移築(昭和58年3月)したもの。氏が5〜13歳まで過ごした思い出深い家であろう。なお、「土蔵」は文学博物館に模型として保存されている。

昭和の森会館(右)
  広大な敷地の「昭和の森」の中に建つ「昭和の森会館」。館内にある「伊豆近代文学博物館」では、天城、伊豆にゆかりの文学者約120名の貴重な資料が展示されている。また併設されている「森林博物館」では天城国有林の植物や動物の変化を表したジオラマなども。

・・・伊豆文学に造詣の深い梅原先生とお別れの時間がやってきた。事前学習会を含め、都合5回にわたってのお付き合いであった。手を振って見送っていただいた先生にお礼を申し上げたい。

番外・淨蓮の滝、ワサビ田、漱石庵、虹の郷・ゆり苑、ツバメの赤ちゃん

浄蓮の滝。豪快な瀑音とともに滝壷に流れ落ちる豊富な水。 滝壷の手前にある「ワサビ田」。清流があってこそのワサビの産地だ。 茶席・漱石庵(修善寺 虹の郷)。夏目漱石が明治43年転地療養のため使用した「菊屋」の部屋は、昭和55年この地へ移築された。花を愛でながらの抹茶の味も格別であった。

降りしきる雨の中で咲きつづけるユリの花、赤と黄虹の郷・ゆり苑にて。 ツバメの赤ちゃん。東名高速道の上り車線・足柄SAにて。


6月22日(日)
夏至

○ 二十四節気のひとつ、夏至である。
『太陽が天球上で夏至点に達し、北半球において昼の最も長く、夜の最も短い時』とされる。

○ ちなみに、横浜地方における今日の「日の出時刻は4時25分、日の入り時刻は19時ちょうど」。
つまり、太陽が昇って沈むまでのいわゆる「明るい時間は14時間35分」ということになる。

6月18日(水)
カルガモの赤ちゃん

○ 雨が降り続く公園の池で、カルガモの親子がそろってスイスイと泳いでいた。
チョコチョコと走り、そして泳ぎ回る。傘を差しながら、カメラのレンズを向けるのも忙しいことだ。

○ すでに「青年?」に育っている仲間ともども、今年はカルガモちゃんの繁殖状況は良好とみた。

6月16日(月)
スイレンが開花

○ 1年前のこの時期に「父の日プレゼント」としてもらったスイレンが、再び蘇って開花したのにはビックリした。
水槽代わりとして庭に出しっ放しにしている「火鉢」の中で、姿かたちも消えてしまったかとあきらめていたものである。

○ 寒い冬を潜り抜けて、まさか生育し続けていたとは驚きであった。

6月10日(火)
梅雨入り

○ 気象庁は、今日の午後、「関東甲信・東海地方で梅雨入りしたと見られる」と発表した。
去年より1日早いとのことで、7月20日ごろとされる梅雨明けまでの約1月間は鬱陶しい日が続くことになる。

○ 紫陽花はますます色艶を増すことになる。雨もまた良ろし、楽しからずや。

6月4日(水)
紫陽花と花菖蒲

○ この週末から、「アジサイDays」(市立相模原麻溝公園)と「しょうぶまつり」(県立相模原公園・水無月園)が始まる。

○ 花の品種によって開花の程度に違いも見られるが、今日の状況からすると見頃としては時期尚早。1週間後あたりか。

(6月上旬のフロント・ページ)
○ 紫陽花や花菖蒲、あやめ、杜若などが鮮やかな色艶を見せるようになりました。梅雨空の下で一層鮮やかさを増してくる花。やはり、6月を代表する花であることは間違いないようです。
○ 本格的な梅雨入りも間近か。しばらくの間は鬱陶しい日々が続くことになりますが、これも天賦自然のものであって無くてはならない自然の恵みです。干ばつ被害が続いているインド大陸などの状況を耳にするにつけ、地球上の気象条件も難しいものだと考えさせられます(6月4日)。