たんと菜園の
野菜の花・葉・実
食卓を飾る野菜たち


48トウモロコシ(玉蜀黍)
イネ科 別名:唐黍(トウキビ)

甘味抜群の新種が多く出回っており、茹でコーン、焼きコーンがやはりポピュラーな召し上がり方だろう。それ以外でも、ツブを湯がいて冷凍保存しておくと、バター炒め、ポタージュ、コロッケなど応用範囲は広く有用な食材である。

トウモロコシで特筆すべきは、何といっても、"雌雄異花の受粉の仕方)"だ。同じ雌雄異花のカボチャとは一風異なる生態は興味深い。

◆ トウモロコシの名前の由来は、中国(三国時代の蜀)から伝来した黍(キビ)であることから。「タマ(玉)のようなモロコシ(蜀)キビ(黍)」というのも肯ける。


株の先端部分である茎頂に咲く雄花の穂(左画像は穂先の一部を近接して撮影したもの)。雌花は茎下の葉腋(茎の節)のところに咲く。

(*)雌雄異花の受粉の仕方
オス花の花粉が、葉腋(茎と葉の付け根、節)に咲くメス花(画像下、右のヒゲモジャ)に付着することによって受粉となり、結実に至る。

この場合、メス花が花粉を受け入れるのは同じ株の(直上の)オス花からではなくて、お隣りの(風上の)オス花からのもの。したがって、この時期の風向きを考慮して、「南北に長い畝を造る」というのは理に適ったことといえる。


それにしても、メス花の受粉はどうして自株のオス花からでなくて異株からの受入れになるのだろうか。メス花が"浮気っぽい性格!?"にしては、説明がつき難いものだ。



収穫後、時間を置くと甘味が低下するので、もぎ採ったら直ぐ皮を剥いで、素早く茹で上げたほうが良い。美味しい"茹でコーン"はやはり採りたてがイチバンだ。

鍋にお湯を沸かしてから畑にもぎ取りに行く」といわれるのも、むべなるかなである。
絹糸(ヒゲモジャ)が茶褐色に変色してくるのは食べ頃を迎えたサインだが、適期をいち早く察知するのは目ざといトリたち。

外側の皮を剥いで、きれいに平らげてしまう。敵ながらあっぱれ、というところ。
茎の節のところに付く雌花。このヒゲモジャが雄花(画像上、左右)の花粉をキャッチして実を作る。

ヒゲモジャは花柱で、この一本一本が一粒のコーンとなる。したがって、ヒゲの密度が濃いほど実成りが良いということになる。
摩訶不思議な現象である。

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