はにわ園@宮崎・平和台公園  (No.1-1/3)
〜古代ムードを醸し出す埴輪の群れ

■ 宮崎市街地を見下ろす緑豊かな丘の中に設えられた「はにわ園」。古墳をかたどった盛り土の上に、武人や家、馬などを基に造られた約400基の苔むす埴輪が静かに鎮座している。園内に一歩足を踏み入れると、ロマンある古の世界に佇んでいるかのような錯覚を覚える。

■ ここには幾度となく足を運んでいるが何かを見過ごしていたようにも思い、この度、じっくりと眺めてみることとした。"埴輪再発見"となる良いきっかけになれば幸いだ (2006/3/20)。

*埴輪についての以下の説明文は、園内に設置されている案内標識の表記を参考にして作成しています。

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苔むす埴輪の数々

この舟形埴輪は西都原古墳群169号墳から出土されたもので外洋を航海する大型船を表現している。大木をくりぬいて舟の底部とし、上部の両舷には複数の櫓をつけるための突起部を持つ準構造舟である。


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"子持ち家"(左、中)
西都原169号墳出土で全国唯一の埴輪。一般的な家型埴輪は母屋が1棟であるのに対し、この家型埴輪は竪穴の母屋に4棟の付属がついている。豪族居館の一部を表しているのが特徴。
切妻造の家(右)
カヤを葺いた屋根には網代を縁で押さえ、堅魚木(かつおき)を乗せている。豪族の権威を表す堅魚木は今日、社殿建築に見ることが出来る。


全身武人 全身武人、馬 半身武人
武人(桂甲に身を固める男子)
頭には鉄製の衝角付冑(しょうかくつきかぶと)をかぶり、桂甲(けいこう)という鉄の甲(よろい)に篭手(こて)をつけている。また、右手には刀の柄(つか)を、左手には弓を握り、背中には矢を入れる靭(ゆぎ)を背負った完全武装の武人像である。
半身埴輪
上半身を守る短甲と呼ばれる甲(よろい)をつけた武人埴輪は5世紀後半だけの限られた時期に現れた。甲冑型埴輪から人面を表した武人埴輪へと変遷したと見られる。


農夫
鍬を肩に担ぎ鎌を腰に差している。髪は労働に適するように小さい美豆良(みずら)で結びあげている。菅笠をかぶったものもある(中央)


盛装した女子
髪は長髪を前後で折り返し、頭頂部で束ねた島田髷(しまだまげ)に似たものを結っている。首飾りなどの装飾品をつけ、衣服は裳(も)を着用した盛装姿。儀式に参列した身分の高い女子と見られる。


円筒型埴輪
土管のような形をした普通円筒(左)と器台に壺を乗せた朝顔形円筒(右)がある。古墳に使用される基本的な埴輪で、分布数や個体数の最も多い埴輪である。

弥生時代の美を追求した美しい壺。上部が開き気味のものと首がくびれて上縁の開いたもの等がある。


園入り口近くに聳える「平和の塔」 園入り口付近に咲く陽光桜 園内に咲く椿

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